新約聖書の最初におさめられた福音書(第一福音書)の本文には著者に関する言及はないが、古代以来伝統的にマタイによるものとされ、『マタイによる福音書』というタイトルがつけられている。近代以降の聖書学的研究のうち、高等批評では、エルサレム崩壊に関する記述は預言でないとの推測に基づく成立年代の設定などから、使徒マタイが著者であるという見解は疑問視されている。だが聖書信仰の福音派では、現在もマタイが記者だと理解している。
生涯
『マタイによる福音書』9:9によればローマ帝国の徴税人であったが、イエスの召命に応えて弟子となったとされる。『マルコによる福音書』2:13以下と『ルカによる福音書』5:27以下では同じような記述がみられるが、呼ばれた弟子の名前は「アルファイの子レビ」または「レビ」となっている。このため、伝統的にはマタイとレビ(レヴィ)は同一人物をさすと解釈されてきた。
イエスの弟子となったときの記事を除けば、聖書はマタイの言動を伝えていない。『使徒言行録』によればイエスの死後も教団内にいたようであり、キリストの昇天・ペンテコステなどの記事に名前がみえる。伝承では『マタイによる福音書』を記したと伝えられ、エチオピアまたはペルシアのヘリオポリスで殉教したとされる。
2世紀のパピアスは、マタイが福音書をアラム語で書き、弟子がギリシア語に訳したと伝えている。今日の研究はこの伝承に懐疑的であるが、マタイという名はアラム語起源のもので、彼が初期教団内のヘブライズムの中心人物のひとりであったことが伝承に反映された可能性が示唆される。
マタイは正教会のイコノスタシスでは他の福音記者とともに王門に描かれる。
マタイおよびマタイの福音書はしばしば「人」のシンボルであらわされる。これは『エゼキエル書』1:10に登場する四つの生き物(ライオン、牛、ワシ、人)と福音書にあてはめられている。
+++
No hay comentarios:
Publicar un comentario
Nota: solo los miembros de este blog pueden publicar comentarios.